◎成城学園初等学校四年生研修会 5月26日(火)


 はじめに防空壕見学、つぎに本堂で住職より、

「一昔前日本はアメリカと戦争し、そして負けました。遠い外国で、海で、日本各地で310万人が犠牲になり‥‥犠牲とは殺されたことです。重い怪我をしたり、家を無くした人は数知れません。この寺もアメリカ軍に焼かれ草一本残っていませんでした。でも君たちの祖父母、その上の祖父母たちの努力で日本は立ち直った。その中で君たちは楽しく生活してる。

 さて世界65億人のなか25億人が水が足りず困っています。12億人は手洗い−トイレもない。それから見れば君たちはとてつもなく幸福だ。この1メートル立方のボール箱に水を満たすと重さ1トンになる。小学4年生30人位の重さ、量から云ってもそのくらい。私たち東京人は、それだけの水をひとり1ヶ月5杯あまり使うそうです。家庭内、さらに学校、病院など出掛けた先で使う。その水は昔から現在までのたくさんの人の努力で遠い山奥から、君に届けられている。水だけではない、住む、着る、食べる、君のすべては無数の人手の世話になっている。お風呂に浸かった時、そのお湯をなで、この話をぜひ思い出してください。

 一、戦争とその前と後の世の歩み。二、水など今の生活のつながり、これが縁。いい縁もあり悪い縁もある。その中の自分をよく見つめ、考えてみてください。」と挨拶がありました。

 その後本堂にて坐禅を行ないました。坐禅は気持ちを落ち着かせ、自分の姿勢が保たれているか、眠くなっていないか、そのことだけに気をつけることが大事です。20分間と短い時間でしたが、児童たちはずいぶん心を落ち着けたようです。

 次に書院にて食事、出てきたのはおかゆ、たくあん、昆布の佃煮、ごま塩ととてもシンプルではありますが、食事をいただくにはたくさんの作法があります。五()(かん)の偈()(食事の心得)を初めとして一つ一つ丁寧に作法を教わりました。

 食事後本堂地下にてボールペン写仏を行ないました。見本となる絵はお釈迦様の誕生を描いたもの(誕生仏)と、観音様のお顔です。児童たちは坐禅のときと同様、心を落ち着かせ、ゆっくりと仏様の線を一本一本丁寧に写していました。最後に本堂前で全員で記念撮影をし散会となりました。

 

話を聞く児童と白い箱
本堂にて座禅
食事前に五観の偈をとなえる
お釈迦様や観音様を写仏